ぺこまるの「介護が始まるよ」

2023年5月に父が倒れ、同時に母も認知症に。介護前哨戦の記録。(家族信託についてはこの情報を当てにせず、専門家への確認をお願い致します)

春の面会

施設面会の日

 

毎週土日のどちらかを夫婦での面会に当てている。この日は天気もよくお花見には最高の日曜日であった。

この施設はコロナは終わったと考えているので、特に面会の予約はいらない。

 

施設の自動ドアを開けると、スリッパに履き替える。赤外線の体温計で計測。この体温計は調子が悪く、ほぼ無視している。呼び鈴を押す。中の自動ドアが開く。入居者が勝手に外に出ないように管理は厳重である。

受付で入所時間を書き込む。書いている間に、施設長のKさんとケアマネのYさんが出てきて、挨拶してくださる。立ち話でテレビ搬入の段取り確認と母の保険証(施設に預かってもらっている)の一旦返却をお願いする。「今日はいいお天気だから出かけるんですよね?」と前回、父を花見に連れ出す相談をしたことを覚えていてくださっている。

親切でやさしいKさん、不器用だが真摯に対応してくださるYさん、どちらも本当に助かっている。あまり優しいので、クーリングオフ期間が終わったら、それも終わる?と心配。

 

エレベーターで5階へ。階段は従業員しか使えないのでエレベーターを使うしかないのだが、これがなかなか来ない。フロアに出ると、2人の入居者さんが喋っていて、ご挨拶を交わす。この施設は割とこうして共有スペースでのおしゃべりが見受けられるのだが、私の両親は参加しない。

 

ノックして、返答を待つが、声が小さいので聞こえない。鍵はかからないので、勝手にドアを開ける。

大抵は母がつかれた形相で迎え、父は寝ている。

今日は、事前に連絡していたので、父も母も外出の用意をして待っていてくれた。

「父のことだから期限が悪くて、「外出はお前らでいってこい」って言い出すんじゃないか」と妻と話していたが、出かける気満々で嬉しかった。

父に修理したメガネを手渡す。手渡すが、父が自分で収納できるわけはないので、私が収納する。

リモコンの効かなくなったテレビをメカスイッチで消す。

母は帽子の選択でごちゃごちゃやっていて、なかなか準備ができない。

父は外履きに履き替えたいという。介護士さんに手伝っていただき、外履きのサンダルを履かせると、足がむくんで入らない。外履き自体も約1年ぶりだろうか。車椅子にステップがついているので、スリップオンになっているのをちゃんと履き直して、それで出発。

 

Yさんが見送ってくださる。車椅子の押し方で気をつけることを聞くと、下り坂では押す人が下になるように下ると、車椅子の人がずり落ちなくて済む、とのことだった。

 

父は去年の5月10日以来、久しぶりに太陽の下に出た。公園は遠いので、施設のすぐ裏手の川の脇にある一本の桜の木を目指す。満開だったが、だいぶ刈られているので物足りなかった。橋の脇にしだれ桜があり、そこで眺める。母と妻は奥の方に行ってツツジを眺めている。こっちへ来いと合図。いざ公園に入ろうとすると、細かい段差でなかなか入れないことがわかる。入ってからも、路面が荒れていて、大回りしてツツジの場所へ。車椅子ってのは、意外なところに気を使うものだ。

ツツジを眺めていると、父が「腰が痛くなってきた」と言い出した。短い時間だったが戻る。それにしてもいい天気、温かい日だった。

 

母は物足りないようで、妻とスーパーへ買い出しに行くと言い出し、その後別行動。

施設に戻る。介護士さんを呼び、父をベッドへ寝かせたが、父は車椅子から自力で立ち上がった。なんとかよろよろベッドに横になる。施設に入った当初より、状態が良いようだ。よかった。

父と野球を見ながら、会話する。プロ野球の世界では、日本のスター選手は今はアメリカにわたってしまうらしい。

父はカップラーメンが食べたくてしょうがないらしい。しかし、自分が麺を食べられなくなってきていることもわかっているし、塩分がおおくてNGなのも理解していて「言ってるだけ。だめなのはわかってる」とのことと。ちなみに「きつねとたぬきのやつ」が食べたいとのこと。

そして、畑の話などをする。実家でも芋を育てていたので、その話など。そう言えば、この施設には屋上農園がある。あとで聞いてみよう。

 

母と妻が施設の部屋に戻る。母はごきげんである。バームクーヘンなどを買ってきたようだ。

 

帰りがけ、ケアマネYさんから保険証をいただく。施設の花見会についてお聞きすると、今週にも実施予定のようだ。施設の屋上にある農園について話を聞くと、例年は近隣農家さんのボランティアを迎えていたらしいが、今年は難しいようだ。残念。もっとも今の父に芋掘りは無理そうだ。

 

いい面会であった。施設に入った当初はいろいろあったが、安定した今はいい関係で面会できている。

最後に「ありがとうな」と言われると、やはり嬉しい。自宅介護なら毎日が喧嘩と戦争だろう。施設だと面会でありがとうと言われる関係でいられる。いつまでもこの状態が続いてくれることを祈る。

家族信託の準備完了

家族信託の準備が完了した。司法書士の事務所で書き換えられた不動産情報を受取、家族信託の準備はすべて整った。おどろおどろしい権利書はスマートな書類に置き換えられ、名義は私になった。喜びはなかった。厄介なものがまた増えたなというのが感想。

ネットで検索して探し出した司法書士先生、誠実に作業してくださった。後半も綱渡りながら幸運に支えられてここまで来たと言っても過言ではない。

妻は実作業に於いても、メンタル面でも常に支えてくれた。私が混乱している場面で常に冷静にアドバイスをくれたのは彼女である。過大に心配しすぎる私に、適切な回答を出し、それは常に正しかった。

古い価値観においては彼女の人生が一番犠牲になりやすい。それを回避できたことは自分でも大きな成果だと考える。

 

施設への入居が落ち着き、家族信託の準備ができたことで一通りの介護ルーチンはほぼまとまった(終わってはいない)もう火急に対策しなくてはならないことは何もない。

 

かといって自由になったかというとそうではない。週に1~2回の見舞いは必須である。また、相変わらず母の病院へ診療情報提供書を貰いに行ったり、白内障の手術をなんとかしなくてはならなかったり、壊れたテレビを買い替えたり、両親の日常生活全般の責任を負うのである。

 

しかし、素人では不可能な父の介護や、強烈だった母の認知症に対する対策は万全である。この差は大きい。今以上、父の介護度が進んでも、母の認知症が進行しても、基本的に我々夫婦の生活は揺るがないことになる。

 

次のミッションは自宅の売却だが、夏にかけてまだ実家にあるものを父母が欲しがる可能性があり、秋までは温存する予定だ。

 

忙殺され、常に心配事やリスクと隣合わせの生活がプツンと終わると、不思議な安らぎと喪失感に包まれた。意欲がなくなったのだ。少し前であれば海外の旅にでも出るところが、全くそのような欲求がおこらなくなった。(まあ、5日くらいしか家を開けることがそもそもできないのだが)一連の騒動や、自分にあの弟がいることや、膨大な介護費用、介護と関係ないところではインフレ、円安、そして自分の加齢。いろいろな要素がないまぜになって、無気力へとつながっている。人生で初めて「やることがない」感覚にも襲われた。

 

敵をすべて倒してしまったヒーローはなにをして生きているんだろうか。そもそもそんな人、現実にはいないが。

自分の生活を立て直さなくては。

そうでもなかったPCデ◯

PC出歩の解約は思いの外簡単だった。

 

ネットを見ると沢山のPC出歩の悪行が列挙されている。店舗に来いと言われて来店すると、「ただいま混んでいるのでお待ち下さい」と言われて2時間待ちとか。

 

家族が解約する場合は、本人が書いた委任状と家族関係を証明するために住民票まで必要らしい。

とにかくあの手この手で解約を阻止してくるらしいのだ。

 

で、予約を取ろうとすると、電話が繋がらない。「只今接客中のため、後ほど掛け直してください」が3回続いた。かろうじて予約を取る。対応は普通だった。

 

当日。家族関係を証明するための戸籍謄本も用意して、臨む。しかし、手続きはあっと馬に終わった。

提示資料は本人と私の身分証明書だけだった。

 

実は、この会社、先日上場廃止になったらしい。観念したのだろうか。

 

敵はあと3騎!ってところまでこぎつけた。

銀行振込その後

見慣れない、この地域の番号から着信。

私名義で母のものの信託講座のある銀行だった「多額の現金が振り込まれているようですが。。。」とのことだが、私の返答を待たずに、雰囲気だけで察知したらしい。母からの振込で自分も知っていると告げると、「でしたら問題ありません」とのこと。

 

多額の現金を突然振り込む犯罪があるんだろうか?

銀行振込完了。

次は母の資産を私の信託講座へ振り込む。

簡単な作業だが、昨今の詐欺やらマネーロンダリングやらの暗躍ぶりから、簡単には行かない作業になってしまっている。

 

母を連れて銀行へ。事前に「顔写真のない本人確認書類しかない場合は、保険証の他に住民票や印鑑証明などが必要」とネットで確認したので、たまたま家族信託の時に余計に出しておいた印鑑証明を持って行った。

9時に母を施設で出迎え、銀行へ。母はいつも部屋に入ると曇った表情をしているが、外に連れ出すとご機嫌になる。

果たして、振込の作業は、想定外のことは特に起こらずに、円滑に進んだ。ただし、振込の手続きをしてから行員が「上司に確認します」と言って10分待たされた。緊張の待ち時間であった。

 

帰り、母と父から頼まれた煎餅だのクッキーだのを買い回った。母は金を失い、また取り乱すかもと思ったが、存外に元気であった。

 

これで残るは2騎である。

空き家の火災保険、皆さんどうしているんだろうか。

次から次へと降りかかる理不尽。介護は理不尽との戦いだ。

そんな資産管理の理不尽と戦い、一段落つく目処が立ってきたところにまた一つ理不尽が顔を出した。

火災保険である。

日本では800万戸?(正確な数値ではありません)、7~8軒が空き家と言われる空き家が氾濫した状態なのであるが、空き家は火災保険に入れないということをどれだけの方がご存知だろうか。私は知らなかった。司法書士に「自宅の名義がぺこまるさんに変わりますので、名義を変えておいてください。必ずやらないと大変なことになります」と言われ、全◯済に変更を申し出た。しかし、回答は「住人の済んでいない家に保険はかけられません」とのこと。驚いた。

ネットで検索すると、確かに「空き家に保険をかけるのは難しい」とあるではないか。もともと住人がいてかかっていたとしても、火災後に空き家だったことが判明すると、原則保険金は支払われないようだ(素人の調査なので、必要な方はご自分で調べてみてください)

ネットである程度調べることはできるものの、実際かけられる保険は「一般型」という住宅型ではない業務用の保険になるらしい。そしてそれは少々割高とのこと。

そして、概算でも知りたかったのだが、それ以上の情報は全く出てこなかった。

仕方がない。行ってみるか・・・気が進まなかったのだが、保険を専門に扱う店舗に出向くことにした。嫌いなのだ。金融関係で店舗を構えている会社はろくなのがない。銀行、保険、証券会社・・・いずれもネットで完結する現在、店舗という固定費がかかる設備を持っている会社はぶっそうな商品ばかり進めてくるのだ。でもまあ、火災保険にしぼればいいか。

 

考えてみれば、乱暴な言い方をすれば空き家に保険はいらないと極論もできる。再建の予定がないのだ。いずれ壊すのだから、瓦礫の撤去費用-解体費用の差額が出ればいい。

困るのは延焼の可能性だ。周囲に損害を与えた場合どうなるか、これも簡単だった。火災責任法?とやらで基本的に周囲への賠償責任はないらしい。

 

で、見積もりが出た。

A社:一般型のみ紹介可能。住宅型は不可。

B社:住める状態で、家に家具や布団があれば会社によっては住宅型に入れる。

との回答。

 

A社、B社で全く違う会社から回答が来た。やはり相見積もりは必要なようだ。

しかし、同じなのは、空き家については引き受け可能な保険が限られるということだ。どの会社も嫌がるらしい。

 

価格も最小限火事だけに絞れば、さほど高くはなかった。というか、今まで父がかけていた保険が高すぎるのだ。しかし気になる項目があった。「延焼損害共済金 1億」と父の掛けた保険には記載されている。おそらく責任はないにしても、賠償が可能ななにかがあるのだろう。万が一、延焼で近所の人が死亡したバアなどにいいのかもしれない。家本体の賠償はあんまり必要がない気がするが、これだけは必要に感じる。これだけに入ることは出来ないのだろうか。

 

調べれば調べるほどややこしく、ネットにもほとんど情報がない。

空き家なんて、本当にくさるほどあるのに、なんでなのだろうか。

頭痛のネタ3つ

3月中に片付けたい、作業3つ

 

1、母の資産、信託口座へ振込

 母を連れて、窓口で手続きしなくてはならない。

 最近の銀行は、かなり突っ込んだ確認をしてくる。詐欺対策、マネーロンダリング対策だろうか。用途などについて聞かれる。なにもやましいことはないのだが、以前M銀行で家族信託口座を拒否された経験があるので、家族信託については言わないように進めなくてはならない。非常に難しい。法律に則った行為なのに、なんでこんな思いをしなくてはならないのだろうか。介護ではこの種の矛盾が非常に多い。特に銀行。

 

2、実家の火災保険

空き家は火災保険に入れない。今の保険は空き家は絶対だめらしいので、脱退しなくてはならない。別荘など、住む予定のある空き家なら対応可能な火災保険もあるらしい。ネットで調査しても価格まで出てこないので、こわごわ店舗へ行くしかない。店舗で「母が将来戻る可能性がある」と嘘をついて、探してもらうしかない。ここでも嘘をつかなければならず、介護の矛盾を感じる。

ネットで大抵のことが済む時代、金融機関の店舗は結構恐ろしい場所である。

不思議なのは、空き家なんて日本には大問題になるほどたくさんあるのに、空き家に対応した保険がないことだ。皆さん、空き家の保険、どうしてますか?

火災保険には周囲の家屋に対する損害賠償の付帯が基本的にない。失火責任法があるからだろう。不要な空き家なら、自宅家屋に対する保険はいらないから不要でもいいんじゃないかという気がする。

 

3、PC◯ポ解約

これが一番面倒くさいし、嫌な気分を味わう可能性が高く、かつ、成功の可能性が低い作業だ。詳細は先のブログに書いたとおりだ。とにかく怒りしかない。

解約の予約をし、店舗に出向く必要がある。予約したらその時間に、解約を絶対させないプロが待っているのだろう。で、父が必死に書いた委任状をなんのかんのと理由をつけて「無効だ」と言い張られ、結局父が亡くなるまで1.2万円を払い続ける羽目になりそうだ。

こちらもカスハラにならない程度に、強面モードで向かわなくてはならない。演技力が必要だ。

本当にこの会社、頭にくる。めどくせえ、めんどくせえ、めんどくせえ。