とうとう、実行しなくてはならない日が迫ってきた。
母名義の貸金庫のカード再発行手続き。
父から再三言われて渋々決行。しかし、日が経てば母の認知症は進行し、口座もろとも貸金庫もロックされるのが見えている。なので、父の焦りも理解できる。
再発行を依頼するにも、またしても判子がどれかわからない。
もう、銀行やら判子やら役所やらの書類地獄は勘弁だ。
父と母は、元銀行員だったので、こーゆーのが好きなんだろう。
書類に判子をおしたり、訂正印に「**捨て、**挿入」とか正式な書き方で書くのが好きなのだ。その代わり、ものを作ったことがない。売り込みやプレゼンをしたことがない。ものを買う時に値段交渉をしたことがない。私らから見ると、ビジネスのビの字も知らない赤子に見える。その代わり判子は大好きだ。
納期に追われる仕事の辛さも知らなければ、プレゼンが成功したときの喜びも知らない。なんて気の毒な人たちなんだろうと思う。