ぺこまるの「介護が始まるよ」

2023年5月に父が倒れ、同時に母も認知症に。介護前哨戦の記録。(家族信託についてはこの情報を当てにせず、専門家への確認をお願い致します)

突然の電話

母のシャキッとした感じは、私ですら「このまま問題なくやっていけるのでは?」と思わせるものがあった。

しかし・・・

介護の家族会中に父から着信。無視していたが、また着信。

「母さんが「老健から請求書が来て、コンビニ払いの請求書が入っていて、それがすごい金額」で、それをもって老健に来てしまう」という半分意味がわからない電話。とにかく、引き止めたので、終わったら実家へ行ってほしいという。老健に確認すると「コンビニ払いの請求書は発行していない」とのこと。

介護の家族会でなく、仕事中だったらどーすんだよと思いつつ、37度の灼熱の下を自転車で実家へ。ここ3日、実家へ通っている。ここが私の職場か?

 

母に事情を聞いた。封筒を持ち出し、老健からの報告書。先月の報告会のものだ。で?何?と聞くと、「おかしいな、この中に赤い文字の請求書が入ってたはずなんだけど」
これは、先月出たネタだ。ここに「老健への支払いは7/28自動引き落とし」とあるではないか。
うそだ!嘘ばかり尽きやがって!
私は怒鳴ってしまった。もうこの母親は我々の生活を破壊するために、嘘を楽しんでいるのだ。その時は頭に血が上り、そうとしか考えられなくなった。
築55年のボロ家に私の罵詈雑言が響き渡る。
とうとう母が土下座しだした。6月のようにこちらを攻撃してくる元気もなくなったのか。痩せて骨と皮ばかりになったこの年寄に私は何をやっているのか。

 

灼熱の夕日の中、私は帰途についた。これだけ暑いと、どこにいてもリゾートな感じが去年まではしたもんだが、もう暑さは暑さでしかない。

後悔と圧倒的な無力感。結局、病気なのだ。母だって良かれと思って毎日一日中領収書や通帳と格闘して、問題を次から次へと量産しているのだ。一個ずつ片付けていくしかない。しかし、こちらが1個処理すると、母は5個問題を作り上げてくる。更に進行することを考えると、のんびり処理している猶予はない。

 

「なんでこんな事になったのか」傍の人たちは考える。それはこの地獄では役に立たない。とにかく、「これからどうするのか。」それを考える。しかない。

母親に土下座をさせてしまった後悔もあるが、時分の中では嫌なビジネスを遂行しているような淡々とした感情もある。気がつけば母は敵である。でも長男として信頼してくれているのだ。
変わり果ててしまったが、間違えなく母であり、感情を持った人間である。彼女は私と戦ってはいない。刻まれた記憶と戦っているのだ。そう考えると、怒鳴ってしまったことへの後悔が増す。