ぺこまるの「介護が始まるよ」

2023年5月に父が倒れ、同時に母も認知症に。介護前哨戦の記録。(家族信託についてはこの情報を当てにせず、専門家への確認をお願い致します)

結局、金がない。

喉元過ぎれば熱さを忘れる。

母に繰り返し言われた言葉である。しかし、暑さを忘れるのはいいことなのではないか。

 

忙しい一週間だった。

週の頭は時間調整で頭を抱えていた。

自分の精神科通いから、新しい仕事の打ち合わせが入っている上、司法書士からせっつかれている家族信託用の新しい口座の開設、母の白内障の眼科通院やら・・・予定が立て込むのが苦手な性分なので、一日に何件も入ると混乱してしまうのだ。

 

口座開設が一番ストレスだった。仕事で市議会議員と会うのは殆ど緊張しないのに、銀行はどうも苦手だ。いや、苦手どころではなく、本当にものすごく嫌悪している。理不尽の温床だ。

しかも詐欺対策で新規の口座開設は結構厄介な作業になっている。今回も業界トップクラスの銀行に口座を解説したのだが、開設理由から用途までかなり立ち入ったことを聞かれる。当然前の失敗があるので家族信託については完全に隠した。用途については「今の銀行に経営不安があるので・・・」とだけ話だけした。嘘はついていないが、詐欺でもやっているようにつらい。いつかばれるのではないかと不安になる。

今度の銀行では私のしょぼい仕事についてまで話さなくてはならなかった。資産運用についても話したくないのに執拗に聞かれた。銀行でなければブチ切れそうだ。別で証券口座を持っている旨話したら簡単に開放された。私みたいなバカでも銀行のこの種の話は罠だらけなのだ。こんな奴らに捕まったら骨の髄までしゃぶられる。銀行というところは詐欺並みに恐ろしい。

しかし、恐ろしいのはこれからだろう。母の口座から信託口座へ資金を移動なんてできるんだろうか。手続きは困難を極めるに決まっている。母の認知状態も今、紙一重の状態だ。

 

次は母の白内障。なんのことはない「診断したところ、老化して白内障的にはなっているが、不便を感じなければ急ぐことはない」「認知症になる前に元気なうちにやっておくという考え方もあります」とのことで、特段焦る必要はないようだ。眼科を変えたら思わぬセカンドオピニオンになった感じだ。手術をしたくなったらいつでも電話くださいとのことなので、一旦予約はせずに様子を見ることにする。

母を外に連れ出したわけだが、母は「お母さんの居場所は今、ベッドの上とトイレだけなの」といい(相変わらず、父のエリアで一緒にテレビを見ることも、一回のロビーで新聞を読むこともしていないらしい)酷く喜んだ。帰りにスーパーと神社と寺に寄った。

 

また、施設の部屋に東京都の指導によりパーティションをつけることになった。これは入居前から決まっていたことなのだが、母がこれでかなり取り乱したらしい。施設長が心配で電話をかけてくるほどだった。そのパーティションの打ち合わせ。工事中は別の部屋に一旦移るらしい。引越し作業は全部お任せくださいとのこと。また図面をいただき、私の方で家具レイアウトを検討することになった。

 

父はこの施設に移る直前に転倒してから、あるかなくなってしまった。父にリハビリの話を持ちかけた。例によって話がうまくまとまらない。父は老健ではリハビリが楽しかったらしい。おそらく、老健の人としても父が一番認知症状が少ない入居者だったので、あつかいが楽しかったのだろう。そうだ、父は家族以外の人には冗談を言うのだ。その冗談が結構面白いのだ。なんで家族には冗談一ついわなのだろうか。そうすれば家族の仲ももうすこし救いようのあるものになっただろうに。

施設長とケアマネによると、あん摩しによるリハビリ的なサービスがあるらしいとのこと。詳細を確認していただくことにして一旦帰ったのだが、不器用なケアマネが母に伝えたらしい。母は「ここは老健と違いリハビリ施設ではない」というネガティブな部分だけ暗唱して、何度も何度も言ってきた。またややこしいことになってしまった。施設側、家族側で詳細調べると、パーキンソン症状にも対応するリハビリ的なあんまであった。週に二度実施となかなか内容も濃い。ちょうどいいので検討したいのだが、料金が通常保険が効いて5000円のことろ、父の場合3割負担なので15000円もする。

 

金・・・

父の健康には多少かけてもいいと思うものの、新聞代5000円、父の希望するネット代5000円、車椅子のレンタル5000円、衣類の洗濯代5000円、NHK5000円など想定外のサブスクが重くのしかかる。その上、PCデ◯の解約ができず月に12000円、使わない実家のネット代に払い続けなくてはならない。解約できないPCデ◯とリハビリ代がほぼ同じというのも涙が出る話だ。新聞やNHKなんてネットがあればいらないだろう。

実家に関わると金銭感覚がおかしくなる。一つ一つの出費が莫大だ。私に言わせれば両親が贅沢すぎることにほかならない。私と妻は今週15年ぶりに意を決して新しいガスコンロを買ったのだが、18800円。実家で去年買ったガスコンロはなんと60万円だ。(このコンロ、普通に買うと16万円なのだが、ガス会社を通じて買うと45万円。取付工事で15万取られる。両親は安全だからと高い選択肢を選ぶ。)

父の猿股はウール入らしく、一万円以上する。そんな贅沢をするくらいだからさぞかし金持ちかと思いきや、父の貯金はびっくりするくらい少ない。

無限に金があったらどんなに楽だろうと、我が身を嘆く。家族信託をしても実家を売り払ったとしても介護費用は数年で底をつく。つらい。私と妻は、近い将来どうなってしまうんだろうか。