ぺこまるの「介護が始まるよ」

2023年5月に父が倒れ、同時に母も認知症に。介護前哨戦の記録。(家族信託についてはこの情報を当てにせず、専門家への確認をお願い致します)

引越まであと10日。なにもかもうまく行かない。

事件や災害の多い正月だったが、それらに関心を示すまもなく怒涛の年明けとなった。

 

早々に司法書士と面談、母の信託の話を進めた。母の信託で心配なのは、信託契約作業中に母の認知症状が出ることだ。おそらく最初の面談はパスするだろう。しかしながら老人ホームへの引越が完了した後、認知症の症状が出るケースが一般的に多い。そうなると公証役場での手続きや最後の資金移動の際に問題が発生する。司法書士は「最悪公証役場を使わないで信託契約を締結すれば良い」と言っているが、それは本当に最悪だ。それにその後の資金移動はどうするのだ。

 

司法書士との面談の後は、司法書士から依頼された印鑑証明だの住民票などの取得だ。父の名寄帳などという聞いたことのない書面もいるという。

父の分はすべて委任状が必要とのことで、目の前が真っ暗になったが、母が同行すれば取得可能であった。

判日ほどで完了。

恐れていた弟の分だが、意外と協力的に動いてくれた。しかしながら「とりあえず写真を取って送ってくれ」というと「流石にそれはできない、一体何でそんなものがいるんだ説明しろ」といってきやがった。こちらは当然パスワードをつけて送ってくれるものと(これまでもそうしている)思い込んでいたのだが、さすがいじめっ子管理職、正論でマウントを取ってきやがった。いつもそうしているではないかと言い出すと子供の兄弟げんかになってしまい、結局いつもの「無視」攻撃にされされるので、平謝りに謝った。だいぶご機嫌を損ねたようでいまだ返事はない。

この件、半分くらいは弟のご機嫌取りがストレスになっている。本当にパワハラ上司の感覚だ。いったいこいつ、どんな仕事ぶりで管理職をやっているのだろうか。たかが中小企業の管理職、私にまで管理職風を吹かせるのは、なんなんだろうか。「管理職」というのが唯一のアイデンティティーな弟。私の感覚では単なる人間の形をしたゴミだが、介護の件では付き合っていくしかない。「見捨てられると家族信託が組めなくなる」というこちらの負い目でとにかくご機嫌を損ねないようにしなくてはならない。

 

その次は母の資産を一箇所に集めることだ。老人にありがちなことだが、母の資産は数か所の銀行に散っていて、しかも定期預金が多い。ありがたいことに母の意識は今のところしっかりしているので、3行の資金を1箇所に集めることができた。この口座が凍結されないことを祈る。

 

母の手続きとは別に信託用の私名義の普通口座を解説する必要があった。父が以前勤務していた銀行なら父も納得してくれるだろうと、朝イチに銀行を訪れる。この銀行、私はすでに別の支店に口座を持っている。このため、なぜもう一つ口座を開設するのかと聞かれ、隠す理由もないので正直に答えたところ、散々待たされた挙げ句、開設を拒否された。

どうすればいいのか。司法書士に相談するも、一般口座の開設でトラブったという話は聞いたことがないとの回答。こまった。

 

そしてその次は引越屋の手配。2者に見積もりを取る。一社目の対応はよかった。大手の割に安く、実は自分たちの1年前の引っ越しの際には6社相見積もりを取り、そこにしたのだ。老人ホームへの引越の経験も多いらしく、昼食時にエレベータが使えないことなど配慮してくれ、テキパキと段取りをしてくれた。無茶振り&交渉で3.5万値引かせ、即決。ダンボールを置いて行ってもらった。

この前日、父からの電話があり、引越屋の見積もりを取るというと「待ってくれ」と言われる。希望があるらしい。待っても父が家の中に帰れるわけでもないので待てないと伝える。「冷蔵庫は荷物に入ってるんだろな」「俺のストーマなんか誰も持っていく段取りしていないんだろう」などと言い出す。大型冷蔵庫を持ってどうするだと説得。本当に何を言い出すことやら。ストーマは当然持っていくというが、何故か信じてもらえない。そもそもストーマなんぞ、見積もりに入れなくてもダンボールに入れるので問題はない。引越経験の殆どない父にその辺、わからないんだろうか。

 

一日空いた日で実家の全物品リストを作成完了。妻と作戦会議をする。

父の書籍・CDなど大量であるが、もうこれらはどうすればいいのかわからないので、父が文句を言い始めたら引越完了後適宜追加で持っていく方針とする。

リスト作成は本当に辛かった。父は持ち物を大事に保管し、5S作業のように緻密に整理していた。母は台所を清潔に機能的に保っていた。両方ともがもう少し健康だったらこの秩序をまもってあげたいところだ。しかし、すでに父は書籍すら読む体力がなく、母は認知症になれば料理そのものができなくなる。これは6月ん体験済みだ。仕方がないのだ。そして、最大の理由は弟がこの実家の父母を忌み嫌い、早く完全に破壊したがっていることだ。しかも私を顎で使って実行したがっている。従わなければ無視。いくら寂しかろうが、やるしかない。躊躇すれば弟の罵詈雑言と無視が待っている。こわい。バカバカしいが、弟が一番怖い。

弟は私の人生の中でも最も付き合いたくない、軽蔑し避けてきた人種である。また、管理職という地位がなければ、なんの面白みもない中身のない人間である。喧嘩でマウントを取るのが得意。確かに喧嘩に勝てれば日本ではサラリーマンは楽勝だ。趣味やライフワークすらない。会社でマウントを取り、パートを首にして喜んでいる。「ペイペイが生意気いったので首にしてやった」飲めばそんな話ばかり。そんな人間。弟でなければ絶対付き合ってはいない。

 

並行して老人ホーム内の家具配置も検討。これがまたうまく行かない。もともと私の両親は家具をあまり持っていない。タンスなど2個しかない。実家は作り付けの家具が多い。20年前のリフォームで押し入れの殆どを収納に変更したためだ。それ自体は素敵なことだが、老人ホームに持ち込むには困ったことが多い。小さめの書棚や引出しは7〜8個あるのでありったけ持っていくことにする。しかし、父がどれだけ大量の書籍やCDを欲しているかが見えないので、詳細の配置は想像力でやるしかない。また、ソファーがほしいのか見えてこない。父は晩年、このソファーで横になってテレビを見ていることが多かったようなので当初は荷物に入れていた。しかしどうも今はベッドに横たわったままであり、また、ソファを入れると車椅子で動く分だけのスペースが確保できないので、諦めることにした。他にもナースコールのボタンの場所やテレビのアンテナコネクタの配置、父のベッドからトイレまでの距離、ドアを開けた際に母のベッドが見えにくくする工夫などで、苦肉の策な感じの配置となった。書いてはやり直し、書いてはやり直しの連続。挙げ句、見積もりの当日に母が「三面鏡は入ってないのか」とグズグズいいだした。(入れてほしいと言わず、入ってないのかというところがクソ母らしい)入れれば入れたでやっぱりいらないかもしれないとか、本当にどこまで引っ掻き回せば気が済むのだ。こちらがつらい顔をすればするほど喜ぶのか。

これで弟が口を出してきたら・・・

 

土曜には妻と実家へ赴き、箱詰めを開始した。昨日の打合に基づき、妻がどんどん判断して箱詰め。私はというと、実家に行くたびになってしまうのだが、あまりの物量の前に呆然としてしってだめだった。貧血状態になってしまうのだ。妻のお陰で作業は順調に進んだ。もう感謝しかない。

 

自宅に老人ホームの会社から「重要書類」と書かれた書類が届いた。A4でおそらく100枚以上ある。

中身は契約書や重要事項説明書。賃貸契約などの生易しいものではない。記載事項の多さもすごいが、それに介護契約なども含まれている。これ全部、私は読めるのだろうか。

 

引越まであと10日。